彼らの墓場となってしまった、しかし愛おしさに溢れる惑星を離れていく。
気の遠くなるような距離も光が遅延するほどの時間さえも超越して...
彼らの命は遠い宇宙の向こう側にある、
我々が概念上そう呼称する場所、外宇宙にまで旅をした。
そして、そこに漂う誰一人として知ることもない
トマトのように赤い星に瞬間移動した。
ほのぼのとした空気。
HLGたちとの真の触れ合いの場所、メルティングポイントと
物質界である現実が混じりあったような世界。
そこに唯一咲いている小さな赤い花にふたつの光がとまる。
物質ではない光、魂であるにも関わらず
そこに留まるとプルプルとまるで赤色のジェリーのように花が震えた。
震えることは彼女にとって返事であり、またテレパシーを発生させる術のようだった。
ジェリー「あら、こんにちわ。わたしはこのほしゆいいつのいし、ジェリー...」
「あなたたちはどこからきたんですか?」
花びらの揺れに応じて光もまた同じく瞬く。
ジェリー「よかったらこのほしでくらしませんか?」
ジェリー「あなたたちとおなじようにまだ生まれたばかりのほしですが...」
ジェリー「あなたたちさえよければ、ずっとここにいてくださいね」
再度、強く瞬く、ふたつの光。
ジェリー「あら、ざんねんです...ずっとひとりでさびしかったので」
ジェリー「できれば、おともだちがほしかったのですが...」
ジェリー「あなたたちには帰る場所があるんですね。」
踊るように舞い、瞬き続ける光。
ジェリー「ではわたしが瞬間移動でそこにおくってあげましょう」
ジェリー「こうみえてもわたし、おくりむかえがじょうずなんですよー!」
物質界に存在していた頃のロボットとしての日々を、
そんな少しだけ昔のことを思い出して微笑むジェリー。
ジェリー「それでは、たどりつきたい場所をつよくおもってくださいね」
ふたつの光はまた遠い空間を超えて、旅立った。
たどりつきたい、あの場所へと。
***
***
もはや記憶も、思い出も、自らが何者であるかも分からないほどに
いろんなものが剥がれ落ちてしまったふたつの光。
だけど帰り着く場所だけはちゃんと覚えている。
揺り籠であり、また墓場でもある青い星。
そしてまた、その愛おしき揺り籠に、ふたりは帰ってきたのだ。
2009年07月04日
【えすぱあ:wonder2】最終話-X5:Baby cruising Love
posted by タナカリセ+タナカヤス at 07:56| えすぱあ:wonder2
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