少し険しい表情で青年はセラミを見つめた。
まだこの金属の矢はクーロンを狙っている。
自らを殺し、さらに約束を違えようとしたクーロンを。
しかも、HLGであるジュディとジェディが消えてしまった今でも、
律儀に矢印を形作っている。
まさかあの二匹の意思もこの矢には籠っているというのだろうか。
ディスコ「ジュディ...ジェディ...」
同じHLGであるディスコことファイブスターは
彼らの思いを受け止めながらその名をつぶやいた。
集中力が途切れないように静かにテレパシーで誰かに語りかける斉木。
斉木(フルーツクリッパー、そしてスカイホッパー...)
斉木(形のないもの、魂や意思だけをテレポートさせるって...可能なのかな?)
クーロンがしたように斉木もまた遥か空の彼方、
宇宙にあるスペースステーションの彼らに話しかけた。
フルーツクリッパー(私たちはテレポーテーションの能力を持っていないけど)
スカイホッパー(...それは可能だ。)
超能力を失った斉木に再度「えすぱあ」としての力を与えたHLG、
ユニバ・スンことフルーツクリッパー。
そして、マームストロングことスカイホッパー。
地球に降り立った最初のHLGたちがテレパシーで斉木に応えた。
スカイホッパー(今、我々と交信しているこのテレパシー...)
となりのディスコがあえて声に出して、彼女もまた応える。
ディスコ「私だけが使えるホーミング・テレキネシス...」
「そして、お前のテレポーテーションを応用すればできるだろう。」
フルーツクリッパー(むしろ..意思を誰かに伝える、届けることは...)
(...君たち人類の得意なことじゃないか。)
自らの画策が実現できることを確認し、斉木もまたそれを声にした。
斉木「できないわけ、ないか!」
そう言って、自信満々で微笑むえすぱあの青年。とても凛々しい表情。
斉木「それじゃあ...伝えるかー!もちろん、ディスコも手伝ってよ!」
ディスコ「伝えるって誰に...まさか!」
斉木「ああ...彼女になら、伝えることができる。届けることができる。」
「きっとふたりの魂を、受け止めてくれる。」
ディスコ「我々だけが知っている、幼き新星。でもなー...」
「あいつ...のんびりやだからまだ宇宙を漂ってるかもなぁー」
ちょっと心配そうな表情をするが、心の底では信じている、という風のディスコ。
斉木「大丈夫大丈夫!自分の相方を信じなって!」
言われるまでもないのでそれにはあえて応えず、
ディスコは得意とするホーミング・テレキネシスに集中する。
斉木もまたディスコが準備万端であることを確認し、テレポーテーションを試みる。
それが成功であるのか失敗であるのかはもはやここにいる者達には確認できない。
しかし、この眼鏡の青年がいつだって彼らを裏切らなかったことを知っている。
彼を知る者は皆、笑顔で哀れなる姉弟の魂の新しい旅を笑顔で見送った。
セラミ「新しい旅に出るんだね...スチル...アルミ...」
そして、金属の矢は力を失い、鈴のような音を立てて地に落ちた。
その凛とした音はあの姉弟の元気な声をまた聞かせてくれたようであった。
セラミ「いってらっしゃい!」
***
2009年07月04日
【えすぱあ:wonder2】最終話-X4:Baby cruising Love
posted by タナカリセ+タナカヤス at 07:12| えすぱあ:wonder2
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